高齢者の多くが陥りやすいフレイル
フレイルとは介護業界ではよく耳にする言葉で、虚弱や脆弱という意味を持つ「frailty」が語源です。決して健康な状態ではなく、日常生活を送るうえで介助が必要な要介護状態の手前に位置する程度のことを指します。身体的フレイルとは、高齢になるにつれて身体の筋力が低下してくる状態のことです。他にも認知症の症状が見られるような精神的フレイル、口腔内にトラブルを来すオーラルフレイルなど、身体の部分によってもさまざまなフレイルがあります。これらは介護予防の観点からも重要視されていて、フレイル予防に力を入れている介護施設も珍しくありません。
社会問題としても注目されるほど高齢化が進んでいる今、80歳以上の年代のうちフレイルに該当する人は約35%に上るとも言われてます。さらに、糖尿病や骨粗鬆症、慢性腎臓病、COPDなどの持病もフレイルにつながりやすい要因です。また、認知症やうつなどの精神的な症状も、フレイルになりやすいとされています。年齢を重ねて、食欲の減退や歩行速度の低下、手足に力が入らないなど様々な症状が見られ始めたら、早い段階でフレイル予防に努めたほういいでしょう。特に、筋力低下を意味するサルコペニアとの関係は深いと言われています。サルコペニアと持病が相まって、フレイルがさらに進行しやすくなるのです。フレイル予防のためには、高齢になる以前から適度な運動を習慣づけていることが大切です。運動は体力・筋力維持の他に気持ちの面でも上向きになる効果が期待できるので、日常的に習慣化しておいて損はありません。